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再び注目されるテレワークの実施状況とそのメリット・デメリット

テレワークする男性

アフターコロナの出社回帰の動きにより、テレワーク実施率は一時低迷していたものの、最近の調査によると再び増加傾向にあることが分かりました。公益財団法人日本生産性本部の「働く人の意識調査」によると、2024年1月での14.8%から16.3%に上昇。特に中小企業における実施率が増加しており、テレワークが再び注目されています。この記事では、最新のテレワーク実施状況と、働き手や企業が感じるメリット・デメリットについて考察します。

テレワークの実施状況と企業規模・年代別の傾向

公益財団法人日本生産性本部が実施した第15回「働く人の意識調査」(2024年7月)によると、テレワークの実施率は16.3%と、2024年1月調査時の14.8%から微増し、2023年1月調査以来続いていた減少傾向から増加に転じました。この増加は、出社回帰が進む中でも、特に中小企業や若年層でテレワークの必要性や効果が再認識されていることを示唆しています。

企業規模別に見ると、1,001名以上の大企業ではテレワークの実施率が減少している一方で、中小企業(従業員1,000名以下)では増加が見られました。特に従業員規模が小さい企業ほど、柔軟な働き方が浸透しやすく、テレワークを活用することで効率的な運営やコスト削減を図る企業が増えていることが考えられます。

年代別の傾向では、20代・30代の若年層でテレワーク実施率が増加しています。これらの世代は、デジタルツールを活用したコミュニケーションや業務に慣れており、テレワークによる業務効率の向上やプライベートとの両立に対する期待が高いことが背景にあります。実際、調査によると、テレワークを実施している人の約8割はフルリモートではなく、オフィス勤務とテレワークを併用する「ハイブリッド型」の働き方を選択しています。これは、業務内容や必要性に応じて最適な働き方を選べる柔軟性が、多くの働き手に受け入れられていることを示しています。

テレワーク導入に対する企業の姿勢は、業種や職種、従業員規模によっても異なりますが、テレワークを実施する働き手からは、業務効率の向上や満足度の高さ、今後もテレワークを行いたいといったポジティブな調査結果が出ています。テレワークはコロナ禍における一時的な対策ではなく、今後も多様な働き方の一つとして定着し続けることが期待されます。
出所:第15回「働く人の意識調査」|公益財団法人日本生産性本部

働き手の声から見るテレワークのメリットとデメリット

テレワークは、多くの働き手にとって、ワークライフバランスの向上や通勤の負担軽減など、様々なメリットをもたらしています。テレリモ総研(株式会社LASSIC)が行った「2024年度版テレワークのメリット・デメリットとは?」調査によれば、働き手がテレワークに感じている主なメリットは以下の通りです。

テレワークのメリットのグラフ

1位:通勤でのストレスがなくなった(68.9%)
2位:プライベート時間が充実した(44.8%)
3位:睡眠時間が増えた(31.5%)
4位:人間関係のストレスがなくなった(27.9%)
5位:家事や育児、介護など、家の用事に時間が作れるようになった(24.4%)

一方で、テレワークにはデメリットも存在します。同じ調査によると、働き手が感じている主なデメリットは次の通りです。

テレワークのデメリットのグラフ
1位:仕事とプライベートが区別できない(39.1%)
2位:上司、同僚とのコミュニケーションが取りづらい、減った(36.5%)
3位:光熱費など自己負担額が増加してしまった(26.3%)
4位:社内の情報、ノウハウの共有が難しい、少なくなった(22.3%)
5位:仕事の評価がどうされているのか不透明(16.0%)

出典:【2024年度版】テレワークのメリット・デメリットとは?|株式会社LASSIC

通勤ストレスの解消やテレワークで生まれた時間を活用できることが、主なメリットとして認識されているようです。他方、仕事とプライベートの境界線がないことや、コミュニケーションに関しての課題を多くの方が感じていることが分かります。
これらのメリットとデメリットを踏まえると、テレワークを成功させるためには、企業が働き手の声を反映し、柔軟な環境を整備することが不可欠です。実際、テレリモ総研の別の調査では、リモートワーク環境が整っている企業ほど、従業員の会社への愛着が高まり、仕事へのモチベーションが向上する結果も出ています。

テレワーク環境制度状況と会社への愛着に関してのグラフ

出典:働きやすい会社の新潮流!?会社のリモートワーク環境の整備は進んでる?|株式会社LASSIC

テレワークの導入や継続に当たっては、業務環境の整備やコミュニケーションの強化を図ることで、デメリットを軽減し、メリットを最大化することが可能です。

柔軟な働き方の導入が企業成長の鍵

テレワークは、単なる一時的な対策ではなく、現代の働き方における重要な選択肢として定着しつつあります。企業にとっては、従業員の満足度を高めるだけでなく、通勤コストの削減や業務の効率化など、多くのメリットをもたらしています。特に地方の中小企業においては、大都市と競争するための手段として、柔軟な働き方を積極的に導入することが重要です。

また、テレワークは単に企業側のメリットだけでなく、働き手にとっても通勤負担の軽減やプライベート時間の確保といった大きな利点があります。一方で、コミュニケーション不足や自己負担の増加といったデメリットも存在するため、これらの課題にどう対処するかが、今後のテレワーク成功の鍵となります。企業は働き手の声をよく聞き、働き方に対する不満や懸念を把握し、適切な環境を整備することが求められます。

特に中小企業にとっては、人材確保が大きな課題です。テレワークなどの柔軟な働き方を提供することで、優秀な人材を引きつけ、また社員のモチベーションを高めることができるでしょう。これからの企業成長には、従業員一人ひとりがより快適に働ける環境づくりが不可欠です。働き手に合った働き方を提供することが、企業の競争力を高める大きな要素となるのです。

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