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資生堂ショックからみる、女性活躍と働き方改革の成功への鍵とは

両手を広げて喜ぶスーツの女性の画像

資生堂は女性社員比率が高く、育児休暇や時短勤務に積極的に取り組んできた女性活躍推進のパイオニアでした。しかし、2014年に資生堂は大きな方針転換を行い、子育て中の女性社員にも平等なシフト勤務と目標を設定しました。この変更は「資生堂ショック」としてSNSで注目を集め、女性活躍と働き方改革について新たな視点を提供しました。「資生堂ショック」を通して、女性活躍推進や働き方改革のあるべき姿を追っていきましょう。

子育てで離職する社員は減ったが、湧き上がる新たな問題

女性社員が8割の資生堂では子育てと仕事の両立支援の拡充により、子育てで離職する社員は減少していきました。
しかし、短時間勤務の社員が勤務に入れない時間帯をフォローするのは常にフルタイムで働く社員。短時間勤務者が入れない時間帯の多くは遅番や土日などの繁忙時間帯でした。
フルタイムの社員からの不満が続出し、短時間勤務者もスキルアップやキャリア形成の機会の阻害が発生している状況でした。いわゆるマミートラックの状態です。女性が短時間勤務をして家事・育児の多くを担うことで、「男は仕事・女は家庭」という性的役割分担意識を助長するという側面もあります。

短時間勤務者にも土日・休日勤務

そこで、資生堂は育児中の社員にも遅番・土日・休日勤務を求めました。これがいわゆる「資生堂ショック」と話題になった大きな方針転換です。
世間では女性活躍の後退と騒がれましたが、現実には、美容職の女性社員において夫の家事・育児参加が進み、時短勤務者の約98%が働き方を見直していきました。
夫や家族などの協力をお願いできるかの聞き取りや、地域の子育てサービスへの利用の検討の呼びかけ、ベビーシッター代の補助などの細やかな支援と、時短勤務者の「働くこと」への意識改革にメスを入れたことが功を奏しました。
育児や介護などの事情で短時間勤務をしている社員は配慮されるだけの対象ではなく、本来はフルタイム勤務者と同様に仕事での重要な役割や目標を持ちやりがいを持って働く企業にとって大きな戦力であるはずです。
このことから、女性活躍推進には仕事と家庭の「両立支援」だけではなく、雇用均等とキャリア支援も含む包括的なアプローチが必要であることが浮かび上がってきます。

女性活躍推進における3つのステージ

資生堂の女性活躍推進には以下のように3つのステージが設定されています。
(参考:コラム2(図1)資生堂の女性活躍推進のあゆみ|男女共同参画局

  • 第1ステージ
    子供が生まれると女性は働き続けるのが難しく、働き続けるにしても家庭を犠牲にせざるを得ない状況
  • 第2ステージ
    子育て支援が整い、子育てをしながら誰もが働き続けられる状況
  • 第3ステージ
    育児・介護などをしながらもしっかりキャリアアップできる状況

資生堂は「資生堂ショック」を経て、育児・介護などをしながらもしっかりキャリアアップでき、仕事で会社に貢献できる状態を実現してきました。
日本において第一子出産後の就業継続が7割となり、多くの企業が現在は第2ステージにいると考えられます。
しかし第一子出産後の就業率は上がったものの、女性管理職の数は他の先進国と比較すると少ない状態です。
日本全体で、女性が出産後も就業継続だけでなく、キャリア展望を失わずに活躍できる社会へとステップアップしていくことが求められています。
真の女性活躍推進においては、女性だけの問題ではなく、長時間労働の是正や評価基準の見直しなど、男性も含めた働き方改革の必要があります。誰にとっても働きやすい職場づくりが、女性にとっても働きやすい職場となり、結果的には女性活躍推進へと繋がるのですね。

<参考>

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